昨年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、やむなく紙上歌会となりましたが、今年は11月30日に鎌倉生涯学習センター
ホール
にて行うことができました。
当日、同人会11名、鎌倉歌壇11名が午前11時に集合、打合せのあと舞台や受付の設営に取り組みました。
午後1時、石川洋一鎌倉歌壇幹事の総合司会で、まず富岡幸一郎同人会理事長、大下一真鎌倉歌壇会長の開会の挨拶があり、
続いて第一部の講演に移りました。
講師は歌会始選者も務めるりとむ短歌会編集人の今野寿美氏で、演題は「われてくだけて裂けて散る─実朝らしさについて」。
実朝は直感的に1首における語りの構造を体得していたこと、現代人が即座に反応したくなる魅力があることなどを、実朝の歌を
上げながら短歌実作の立場から話されました。
第二部の歌会は、本多順子・鎌倉歌壇幹事の司会で始められました。今回の投稿歌は例年より50首近く多い205首。大下一真、
香山静子、木村雅子、今野寿美、津金規雄の各選者から、1首1首に丁寧な講評があり、参加者は熱心にメモを取っていました。
最後に選者賞、同人会賞の発表があり、閉会後各選者から賞状と賞品が手渡されました。なお会場参加者は105名でした。
今野寿美氏講演
選者紹介 津金規雄氏 今野寿美氏 木村雅子氏 香山静子氏 大下一真氏
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大下一真選者賞 |
あるじ
椋鳥がつつく柿の実見てをれば主出てきて柿をくださる
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前田明 |
ぼんぼりに灯ともす巫女の白マスクもはや神事の装束となる |
小笹岐美子 |
香山静子選者賞 |
処暑の陽をあまねく受けて決勝の球児の汗は光りを弾く |
阿部洋子 |
真昼間の星を見つけて飛行士は風にあらがひ機首を上げゆく |
川田茂 |
木村雅子選者賞 |
ぼんぼりに灯ともす巫女の白マスクもはや神事の装束となる |
小笹岐美子 |
反対といふつぶやきを咽喉へ押しもどすため飲むレモネード |
高木瑛子 |
今野寿美選者賞 |
終戦時どこに居たかを語りあふ声ひびきけり春の銭湯 |
髙畠憲子 |
機窓より眺めてをれば夜の町星空となりわれは流れる |
高木瑛子
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津金規雄選者賞 |
百年を生きる女人のふんはりと被る帽子のうすきくれなゐ |
髙畠憲子 |
バスケット
椅子と椅子激しくぶつかる籠球パラリンピックであること忘る |
島 晃子 |
鎌倉同人会賞 |
こうじ
とうふ提げ小路をゆけば方代の角まがりくる夏のまぼろし |
藤井孝子 |
軍艦が往き遊覧船が往く海の光りを浴みてわが窓ひらく |
平塚恵子 |
入賞者の皆さん
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